P16-18 : Sphingobium sp. SYK-6株が持つリグニン由来芳香族化合物取り込み遺伝子の同定
Posted On 20 10月 2014
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1長岡技科大・生物, 2Dep. Environ. Engineering and Green Technol., Malaysia-Japan International Institute of Technology, Universiti Teknologi Malaysia
SYK-6株は、リグニン由来芳香族化合物を代謝するための多様な酵素系を有している。現在までに本株の主要なリグニン代謝系酵素遺伝子が明らかにされてきたが、基質の取り込みに関する知見は得られていない。本研究では、SYK-6株が数多く保有するmajor facilitator superfamily (MFS)トランスポーターの中からリグニン由来芳香族化合物の取り込みに関与する遺伝子を同定することを目的とした。
DNAマイクロアレイ解析の結果から、5,5′-デヒドロジバニリン酸 (DDVA)、フェルラ酸、バニリン酸、シリンガ酸およびプロトカテク酸 (PCA)のいずれかの基質との培養時に誘導されるMFSトランスポーター様遺伝子を5個見出した。また、既知のMFSトランスポーターとアミノ酸配列レベルで約30%の同一性を示す2個の遺伝子を候補に加えた。これら7個の遺伝子について破壊株を作製し、各破壊株の上記基質を単一炭素源とした時の生育能を調べた。その結果、ddvK破壊株ではDDVAでの生育能が完全に欠損し、pcaK破壊株ではPCAでの生育に顕著な遅延が見られた。一方、他の破壊株ではどの基質においても野生株との生育能に差異は観察されなかった。pcaK破壊株のPCA取り込み能を [14C]PCAを用いて調べた結果、野生株と比較してPCA取り込み能が顕著に低下していた。以上の結果から、PcaKはPCAトランスポーターであることが示され、DdvKはDDVAの取り込みに関与することが示唆された。現在、SYK-6株およびddvK破壊株のDDVA取り込み能の評価法について検討を行っている。
keywords:lignin,transporter,Sphingobium,major facilitator superfamily,