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P16-12 : 緑膿菌の集団行動を制御する新規転写因子の機能解析
Posted On 20 10月 2014
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1筑波大・院・生命環境, 2東大・生工研セ, 3静岡大・院・工
【背景・目的】緑膿菌は、多様な運動性を持ち、それらの運動性を環境に応じて使い分ける。特にSwarmingは、微生物間コミュニケーションや環境によって複雑に制御された集団行動であり、その制御については完全に理解されていない。さらにSwarming細胞は、浮遊細胞と比較して、抗生物質への耐性や毒素生産関連遺伝子の転写量が高い事が分かっている。これらの事から緑膿菌のSwarming制御メカニズムを調べる事は、緑膿菌の環境適応に関する重要な知見となる。当研究室の先行研究により、ナフタレン誘導体(ナフタレン分解産物とその構造類似体)が緑膿菌のSwarmingを抑制することを見出した。ナフタレンは環境中で分解菌により分解され様々な中間物質を生じるが、このような分解産物が細菌に与える影響はほとんど報告がない。本研究では、ナフタレン誘導体による緑膿菌のSwarming抑制メカニズムを解明する事を目的とした。【結果・考察】ナフタレン誘導体添加時に転写量が低下した2つの推定転写因子をマイクロアレイを用いて同定した。これら2つの転写因子について詳細な解析を行った結果、これらの転写因子の破壊株ではSwarmingが抑制された。走査型電子顕微鏡(SEM)を用いた観察により、転写因子破壊株では、運動性器官である鞭毛の構造、凝集体の形成能が野生株と比べ明らかに異なっていた。これらの結果より、ナフタレン誘導体がこれらの転写因子の転写量を低下させ、Swarmingを抑制する事が示唆された。今後は、ナフタレン誘導体による転写因子制御メカニズム、転写因子の制御下にある遺伝子の同定を行っていく予定である。
keywords:Motility,Swarming,Group action,Microarray,