P25-24 : ウリ科植物ホモプシス根腐病菌の生存戦略
Posted On 20 10月 2014
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1千葉大・院園芸, 2, 3, ,
植物病原性Diaporthe属菌の中で,ウリ科植物ホモプシス根腐病菌(Diaporthe sclerotioides)のみが土壌病原菌として植物の地下部に感染するが,他の菌は全て植物の地上部に感染する。本研究では,なぜD. sclerotioidesだけがDiaporthe属の中で土壌病原菌として適応できたのかを明らかにするために,次の仮説を検証した。仮説1:D. sclerotioidesだけが土壌病原菌なのは,本菌のみが土壌中でも生存可能であり,他のDiaporthe属菌は土壌中では生存できないからである。仮説2:D. sclerotioidesだけが土壌病原菌なのは,本菌のみが植物の根部から感染できるからであり,他のDiaporthe属菌は根部からは感染できないためである。仮説1の検証実験にはD. sclerotioidesを含むDiaporthe属の12菌株を供試し,土壌中での生存量をリアルタイムPCRによって測定した。その結果,全ての菌株でDNA量は減少しており,また,D. sclerotioidesのDNAは検出されなかった。一方,メロンを宿主とするD. sclerotioides, D. melonis var. melonis, D. melonis var. brevistylosporaをメロンに接種したところ,D. sclerotioidesのみで根部からの感染が確認された。以上から,植物病原性Diaporthe属菌の中でD. sclerotioidesのみが土壌病原菌である理由として,本菌だけが植物根に感染できるためであるという仮説が支持された。
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