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P16-11 : 大腸菌の菌外膜ベシクル過剰生産株の構築
Posted On 20 10月 2014
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1阪大・院・基礎工・物質創成・化学工学・生物反応工学
【目的】菌外膜ベシクルとは多くのグラム陰性菌が生産する外膜から遊離した直径20~250 nm程度の細胞外小胞であり,毒性因子やシグナル物質の運搬または不要物質の排出,バイオフィルム構造の維持などに関与することが知られているが,その詳細な役割についてはいまだに不明な部分が多い.近年,ベシクルを利用したドラッグデリバリーシステムの開発が報告されており,今後医療分野におけるベシクルの更なる応用が期待されることからベシクルの生成メカニズムの解明と過剰生産株の構築は重要である.本研究グループはこれまでの検討により,大腸菌にセルロース生合成関連遺伝子であるbcsB遺伝子を導入することで,バイオフィルムの形成が促進されることを確認している.本研究では,バイオフィルムの形成を促進させる因子としてベシクルに注目し,大腸菌野生株とbcsB遺伝子導入株によるベシクルの調製と分析を行った.
【方法および結果】大腸菌野生株とbcsB遺伝子導入株を2 g/Lのグルコースを含むLB培地を用いて37 °Cで24時間培養することで大腸菌にベシクルを生産させた.培養液を遠心分離して上澄み液を回収し,フィルターろ過により菌体を除去した.更に硫酸アンモニウムによる塩析と超遠心分離を行うことでベシクルを回収した.TEM観察によりベシクルが回収できたことを確認した.SDS-PAGEにより大腸菌の外膜たんぱく質由来のバンドを比較したところbcsB遺伝子導入株がより強いバンドを示すという結果から,bcsB遺伝子導入株が菌外膜ベシクルの過剰生産株であることが明らかとなった.
keywords:outer membrane vesicles,Escherichia coli,bcsB,,