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P16-10 : ファージMa-LMM01感染過程におけるMicrocystis aeruginosaの遺伝子転写解析
Posted On 20 10月 2014
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1京大・院・農
【目的】細菌はファージに感染すると、ファージの遺伝子の発現により転写・代謝が改変される。海洋表層では原核生物の20-40%がファージ感染を受けていると見積もられており、ファージ感染が微生物生態系に与える影響は大きい。淡水性ラン藻であるMicrocystis aeruginosaは一次生産者であり、ファージ感染による転写・代謝の変調を知ることは、物質循環を理解する上でも重要である。そこで、唯一感染実験が可能なMicrocystis ファージMa-LMM01を用いて、感染過程におけるM. aeruginosaの遺伝子転写を調べた。 【方法】対数増殖期のM. aeruginosaに対し、同数のMa-LMM01を感染させた。溶菌までの細胞を経時的に採取し、全RNAを抽出した。逆転写して得られたcDNAを鋳型にqRT-PCRを行い、ハウスキーピング遺伝子、ストレス応答系、光化学反応中心II D1タンパク質PSII D1、炭素代謝系の遺伝子の転写動態を調べた。 【結果と考察】Ma-LMM01感染後、ハウスキーピング遺伝子、炭素代謝系遺伝子の転写の劇的な抑制はなく、宿主遺伝子の転写の明確なシャットオフは見られなかった。PSII D1の転写に変化は見られなかったが、ストレス応答系のうち、光化学反応中心を変性から保護する経路にも関与するgroES、 hspA、 hspA2、htrA、htpGの転写が増加した。また、酸化ストレス応答に関与するオルタナティブσ(sigB ) の転写促進も見られた。従って、Ma-LMM01感染過程では、光合成装置の保護系が誘導されると考えられた。
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