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P16-02 : 難培養性微生物の増殖活性化に寄与する異種間相互作用
Posted On 20 10月 2014
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1広島大・サステナブルディベロップメント実践研セ, 2広島大・院・工, 3Dep. Biol., Northeastern Univ.
環境中の多くの微生物は難培養性であることが知られている。その事実は微生物学において本質的に重要な課題であるにもかかわらず、なぜそれらが培養できないのか、つまり難培養性という性質についての本質的な理解は全く得られていない。本研究では、難培養性微生物(従来法では分離培養困難な微生物)をモデルとして用い、難培養性微生物の休眠と覚醒現象について、微生物間相互作用の観点から解明することを目的とした。門レベルで難培養性を示すNitrospira は、亜硝酸酸化反応を主要に担う重要な微生物種であるにも関わらず、分離に成功した例は極めて少ない。しかし、我々は新規な手法を適用することで、Nitrospira が効率的に分離培養可能なことを実証してきた。さらに、いったん分離できれば従来の培養方法でも継続して培養できることが判明している。
環境中では、Nitrospira は活性状態と非活性状態(休眠状態)で存在すると仮定して、休眠および覚醒に対する共存従属栄養細菌の影響について亜硝酸酸化活性や菌体数の増減を指標として分析した。まず、集積培養中のNitrospira と共存する従属栄養細菌を単離して共培養し、亜硝酸酸化活性を促進する微生物をスクリーニングした。さらに、非活性化状態のNitrospira に対する従属栄養細菌の影響評価、すなわち休眠からの覚醒における、従属栄養細菌の存在化と非存在化における比較解析をおこなった。その結果、非活性化状態のNitrospira の活性回復に従属栄養細菌が関与していることが示唆された。
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