P16-07 : プラスミド保持株が非選択条件下で優占化する原因の解明
Posted On 20 10月 2014
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1東大・生工研セ, 2富山県立大・生工研セ
プラスミドは宿主間を水平伝播し、宿主に多剤耐性や難分解性物質分解能等の新規形質を与える一方で、宿主の生育にとって負荷となる場合もある。これは非選択条件下においてはプラスミド保持菌株が細菌群集中で他の細菌に淘汰されやすいことを示唆しているが、実際には淘汰されずに生き残る場合や、さらには他の細菌に対して優占化する現象も観察される。本研究ではこの現象の原因解明を目的として、非選択条件下で優占化したプラスミド保持株の解析を行った。 多剤耐性プラスミドRP4 (IncP-1、60 kb) を保持させたPseudomonas putida KT2440株 (以下KTRP4) とプラスミドを持たないKT2440株 (以下KT) とを等量混合して競合培養を行った。経時的にKTRP4の比率を調べることで集団中でのKTRP4の生き残りやすさ (fitness) を評価したところ、競合培養初期にはKTRP4の比率が減少したものの、最終的に集団中で優占化した。2回の独立した競合培養から優占化したKTRP4 (以下優占化株) を3株ずつ計6株単離した。優占化株とKTRP4とで全塩基配列を比較したところ、各連の3株において各々共通した1塩基置換 (SNP) が宿主染色体上に一カ所ずつ検出されたが、これら二カ所のSNPsはともにPP_5401及びPP_5402の遺伝子間領域に存在していた。以前行われたトランスクリプトーム解析において当該領域はRP4保持により転写が誘導されていたことから、当該領域のSNPsがRP4保持に伴う宿主への負荷を低減した可能性が示唆された。
keywords:Pseudomonas putida,plasmid,RP4,fitness,whole genome sequencing