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P14-11 : 新目Sulfuricella目に属する新たな淡水性硫黄酸化細菌の分離と特徴付け
Posted On 20 10月 2014
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1北大・低温科学研
形態学的に顕著なものを除いて、淡水湖沼に生息する化学合成硫黄酸化細菌については現場に生息する系統すら不明であった。これまでに著者らは、Betaproteobacteria綱の硫黄酸化細菌、Sulfuricella denitrificansが特定の淡水湖沼で優占することを明らかにし、基準株skB26のゲノムを解析した。この結果、本菌が系統的に孤立することを見出し、新目Sulfuricella目を提唱した。本研究では、Sulfuricella目に属すると考えられる新たな硫黄酸化細菌2株(T08とTTN)を淡水湖から分離し、その特徴付けを行った。16S rRNA配列のBLAST検索の結果、T08とTTNに最近縁な株はそれぞれSulfuricella denitrificans skB26(99%)と分類未確定の”Thiobacillus plumbophilus” Gro7(97%)であった。複数の遺伝子の系統解析の結果、T08、TTN、およびGro7はskB26と常に単系統群を形成した。次いで、比較的高い配列新規性を有するTTNに着目し、その生理学的特徴を検討した。至適生育pHは6.5付近、至適温度は22℃付近だった。好気条件下でチオ硫酸、元素状硫黄、テトラチオン酸を硫酸イオンに酸化し、嫌気条件下では硝酸を亜硝酸に還元した。上記の無機硫黄化合物の酸化と硝酸還元は、最近縁種”Thiobacillus plumbophilus”では報告されていない。以上の結果より、TTNとGro7はSulfuricella目の新属に属し、それぞれ別の種を代表する株であると考えられる。
keywords:硫黄酸化細菌,,,,