Previous Story
P23-6 : 微生物により生成されるミネラル様物質の同定
Posted On 20 10月 2014
Comment: Off
1静岡大学 工学部 物質工学科, 2静岡大学大学院 工学研究科, 3東京大学大学院 理学部系研究所, ,
微生物は我々の想像を超えた物質の生成および物質循環に関わっている。我々の研究において、一時的に高密度の電流生成を発揮した微生物燃料電池(MFC)の負極溶液から微生物群を取得し培養したところ、黒色のミネラル様物質を生成した。大変興味深いことに、本物質はMFCの発電効率を増加させ、且つ、蓄電能を有していた。そこで本研究では、物質科学的に本物質が何かを明らかにすることを目的とした。
分離菌株Desulfovibrio sp.HK2株およびTrichococcus sp.HK3株を嫌気的に培養しミネラル様物質を得た。それらの物質を無反射シリコン版にのせ、X線回折(XRD)分析した。その結果、HK2株由来の黒色物質は緩やかではあるものの複数のピークが観察され結晶質と、HK3株由来の白色物質はピークが観察されず非晶質と判断された。得られたピークから黒色物質は数 nmサイズの粒子と推定され、XRD解析の結果、結晶質に特徴的な格子縞および電子回折パターンも観察され、(001)面を有するMackinawiteであることが示唆された。さらに走査電子顕微鏡観察および付帯のエネルギー分散型X線分析(EDS)を実施した結果、Mackinawiteに特徴的な層状構造が確認され、FeとSの存在比が1:1であることが示された。一方の白色物質はTiおよびPを主成分とする板状の化合物であった。以上の結果より、HK2株は正方晶のMackinawiteを生成し、HK3株はTiやPの化合物を生成していることが明らかとなり、常温下でのミネラル生成に微生物が関与していることが示された。
keywords:biomineral,Mackinawite,,,