P23-7 : 嫌気土壌における硫酸還元菌によるフェニルヒ素化合物のチオ化
Posted On 20 10月 2014
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1新潟大学大学院自然科学研究科, 2新潟大学自然科学系, 3新潟大学農学部, 新潟大学環境安全推進室,
ジフェニルアルシン酸(DPAA)は、遺棄化学兵器に多く含まれるCLARK IやCLARK IIの合成原料であるとともに、これらのフェニルヒ素化合物から環境中で容易に生成する代謝物でもある。DPAAの変換は嫌気条件下において、好気条件よりも早く進行することが明らかになっていることから、本研究では嫌気土壌においてDPAAの動態に関与する微生物を明らかにすることを目的とした。【方法】砂丘未熟土(五十嵐土壌)にDPAA溶液を添加して模擬DPAA汚染土壌(10.7 mg-As/kg-土壌)を調製した。これに稲わら(3.51 g-C/kg-土壌)やSO42-(425 mg-S/kg-土壌)、あるいはその両者を加え、湛水条件で静置培養した。DPAA濃度をHPLCで経時的に測定し、ヒ素の形態分析をLC/ICP-MSで、未知ヒ素種の構造推定をLC/TOF-MSで行った。さらにDPAA濃度の減少が認められた模擬汚染土壌から嫌気的DPAA変換に関与する微生物の単離を試みた。【結果】DPAA濃度の減少は硫酸還元条件下において顕著で、代謝物としてジフェニルチオアルシン酸(DPTA)が同定された。供試土壌からDPAAのDPTAへの変換に関与する微生物としてDEA14株が単離され、遺伝子分類学的な検討の結果、Desulfotomaculum acetoxidansと同定された。さらに既知株であるDesulfovibrio aerotolerans JCM 12613TもDPAAをDPTAに変換可能であることが示された。以上のことから嫌気的なDPAAからDPTAへの変換は硫酸還元菌が関与していると考えられた。
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