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P23-1 : 海洋性硫黄酸化細菌を契機とする津波堆積物細菌叢の好気環境下での変化
Posted On 20 10月 2014
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1東京農工大学 農学府, 2産業技術総合研究所 環境管理部門, 3石巻専修大学 理工学部, ,
<背景>東日本大震災により大量の海洋堆積物が打ち上げられ,解放系沿岸域での堆積物の蓄積が明らかとなり,沿岸環境の保全のためにも有機物の分解促進が重要であることが再認識された。本研究では,効率的な分解が期待される好気環境下において,堆積物の細菌叢がどのように変化するかを,次世代シークエンサーを用いて解析するとともに,堆積物の化学的性状の変化を調べた。
<方法>宮城県東松島市の津波堆積物から嫌気層を採取し,嫌気的にプラスチック容器に移し,大気環境下で約2ヶ月間培養を行なった。堆積物表面(好気相)と内部(嫌気相)の硫酸濃度,pHなどの化学的性状を測定するとともに, 16S rRNA遺伝子の次世代シークエンス解析を行なった。また,海水に懸濁した状態での変化を確認するために,人工海水へ懸濁した堆積物を振とう培養し,その細菌叢の変化を追った。
<結果と考察>次世代シークエンス解析の結果, 堆積物内部では大きな変化は見られず, 嫌気環境では細菌群の構成の変化は僅かであることが確認された。一方,堆積物表面では実験開始と共にSulfuricurvumなどの硫黄酸化細菌が爆発的に増加し、培養3日目には細菌全体の約75%を占めた。その後,数週間の培養期間を経て好気性従属栄養細菌群が増加した。このように,この堆積物においては硫黄酸化細菌の増加をきっかけとし,細菌群の構成が劇的に変化していることが示された。懸濁液での培養では,硫黄酸化細菌は開始時の103 MPN/mlから3日目には108 MPN/mlまで増加し、大気環境下と同様に急激な増加が確認された。
keywords:Marine sediment,next generation sequencer,sulfur oxidizing bacteria,16S rRNA gene,