P19-21 : 土壌微生物の特性を利用した放射性セシウムの濃縮・回収技術の開発
Posted On 20 10月 2014
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1大阪府立大院・工, 2大阪府立大院・生命環境科学
【背景と目的】2011年の福島第一原発事故で9.0×1017 Bqもの放射性物質が環境中に放出された。高濃度汚染地域では汚染土壌を削り取ることで除染が行われている。しかし、削り取った大量の汚染土壌を貯蔵する場所の不足やコストの高さが問題となり、低濃度汚染地域において除染が進んでいない。そこで本研究では、137Csの吸収に優れた土壌微生物を探索し、137Cs吸収能力の高い微生物を増殖させる技術を構築することで、低濃度汚染地域における、一般家庭でも実施できる安全かつ負担の少ない除染方法の構築を目的とした。【方法・結果】最終槽内濃度で、八木町バイオエコロジーセンターより購入した消化発酵汚泥40%(v/v)、可溶化でんぷん2.0 g/L、CsCl溶液100 mg/Lとなるように容積176 mLのバイアル瓶に投入して全液量を50 mLとした。ヘッドスペースは窒素で置換して嫌気状態とし、37℃で静置培養した。培養期間中、培養液を1 mL引抜き、でんぷん溶液を1 mL投与する操作を毎日行った。この時採取した培養液から遠心分離により菌体を回収し、菌体中のCsCl量を測定した。その結果、培養1、2、3、4日目に吸収したCsCl量は培養液1 mLあたり0.68、1.73、1.66、1.68 μgとなり、消化発酵汚泥中の微生物が経時変化に伴いCsを吸収することを確認した。そこで、汚染土壌粒子と似た吸着機構を持つシリカゲルを土壌粒子のモデルとし、シリカゲルに吸着したCsを微生物回収する方法を探索するとともに、PCR-DGGE法により消化発酵汚泥中のCs吸収菌の解析を行っている。
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