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P14-09 : Bacteroidales目に属する鉄腐食細菌およびその関連細菌の分離
Posted On 20 10月 2014
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1理研BRC-JCM, 2NITE
石油備蓄基地施設などで問題視される金属腐食において、急速な腐食の進行や局所的な腐食現象が確認されることから、微生物腐食の関与が疑われている。一般的に、硫酸塩還元菌が主な原因菌と考えられているが、我々はBacteroidales目に属する硝酸塩還元菌MIC1-1株が鉄腐食を引き起こすことを見い出した。Bacteroidales目の細菌による鉄腐食の事例は過去にない一方、分離株数が少なく本目内の鉄腐食菌の分布は不明である。本研究では原油や干潟土壌からBacteroidales目に属する鉄腐食細菌およびその関連菌を分離を試みた。
収集した原油と干潟土壌を嫌気置換した人工海水培地に接種し、25ºCで集積培養を行った後、同組成の寒天培地を用いて4株の細菌を新たに純粋分離した。鉄腐食細菌MIC1-1株を含む分離株5株は通性好気性、従属栄養性のグラム陰性桿菌であった。MIC1-1株とMIC1-4株は硝酸塩還元と鉄酸化を、Fu11-1株とMIC3-8株は鉄還元を行った。16S rRNA遺伝子塩基配列に基づく系統解析の結果、全5株はBacterodales目Prolixibacteraceae科に属した。うち4株はProlixibacter属もしくはDraconibacterium属に近縁だったが、Fu11-5株はいずれの属にも属さず、近縁種との塩基配列の相同性は87-91%と低かった。Fu11-5株は系統的に独立することに加え、細胞形態、至適生育温度、利用できる糖など複数の点で既知種と異なった。以上から、Fu11-5株に対し、新属新種Mariniphaga anaerophilaを提唱する。
keywords:微生物腐食,鉄腐食,Bacteroidetes,鉄還元,鉄酸化