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P14-08 : 2,4-D分解プラスミドの配列解析から示された未分類の伝達性プラスミドグループ
Posted On 20 10月 2014
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1農環研, 2静大・農, 3(株)協同乳業研
[背景と目的]2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)は、最も古い化学合成除草剤で、微生物による芳香族塩素化合物分解能獲得のモデル化合物として研究されてきている。我々はこれまでに、国内各地の水田由来の2,4-D分解菌の保有する、あるグループの2,4-D分解遺伝子群は、およそ600 kbのプラスミドによって伝播していることを示すと共に、そのプラスミドの全塩基配列を明らかにした。本研究では、このプラスミドの属するプラスミドグループを明らかにするため、既知のプラスミドと比較解析を行った。
[方法と結果]接合伝達性プラスミドの分類は、接合伝達に必須のrelaxase遺伝子の配列に基づいて行う方法が定着しつつあるが、本研究で解析した2,4-D分解プラスミドpM7012には、同遺伝子ホモログが見出されなかった。そこで、もう一つの接合伝達必須遺伝子、T4CP遺伝子の配列を用いて系統解析を行ったところ、既知の伝達性プラスミドグループとは異なるグループに属することが示された。また、米国で分離された2,4-D分解菌Burkholderia tropica RASC 株の保有する2,4-D分解プラスミドもpM7012と同じ分解遺伝子並びにT4CP遺伝子配列を保有することが示された。すなわち、報告例のない伝達性プラスミドグループの存在が示されると共に、このプラスミドが、国内のみならず海外においても2,4-D分解遺伝子の伝播に寄与していることが示唆された。(文献)Sakai, Y. et al, Microbiology 160, 525-536 (2014)
keywords:conjugative plasmid group,2,4-D,,,