P13-19 : 次世代シーケンサーを用いた生分解性試験用活性汚泥の菌叢解析
Posted On 20 10月 2014
Comment: Off
1化学物質評価研究機構, 2産総研
【目的】我が国では、化学物質による環境汚染を未然に防止する観点から、上市前に環境残留性を評価するための生分解性試験(OECDテストガイドライン301C)の実施が義務付けられている。本試験では、下水処理場より採取した活性汚泥や環境水(河川水など)を混合したものを微生物源とし、グルコース及びペプトンを栄養源とする合成下水で1か月以上培養した活性汚泥(301C汚泥)を使用する。近年、301C汚泥について、長期培養に伴う自然環境との菌叢のかい離や経時的な分解活性の低下が指摘されている。しかし、これまで301C汚泥の菌叢とその変化を網羅的かつ定量的に評価した研究事例はない。そこで我々は、次世代シーケンサー(Illumina社、Miseq)を用いて301C汚泥の菌叢解析を試みた。【方法及び結果】培養1、2及び3か月後の301C汚泥から抽出した総DNAを用いて、16S rRNA遺伝子をターゲットとしたメタゲノム解析を行い、培養による菌叢のロット間差及び経時的変化を解析した。また、3処理場より採取した下水処理場汚泥の解析結果と比較することで、培養による菌叢の変化も解析した。その結果、301C汚泥は下水処理場汚泥に比べて細菌の多様性が低く、培養によってProteobacteria、Bacteroidetes等が優占化していることが明らかとなった。一方、301C汚泥のロット間のばらつきは小さかったことから、合成下水による培養が試験の再現性に寄与していることを示唆した。
keywords:生分解性試験,活性汚泥,次世代シーケンサー,メタゲノム解析,菌叢解析