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P14-06 : ヒトおよびウシ由来腸管出血性大腸菌O26のファイロゲノミクス解析
Posted On 20 10月 2014
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1宮崎大・フロンティア科学実験総合セ
腸管出血性大腸菌(EHEC)感染症では、O157による症例が最も多いが、O157以外の血清型を示す菌株(non-O157 EHEC)による集団感染事例も世界中で頻発している。国内のnon-O157 EHEC感染症では、O26による事例が最も多く、近年増加傾向にある。また、ヨーロッパでは、ST29と呼ばれる新型の高病原性O26クローンが問題となっており、世界各地への伝播が警戒されている。しかしながら、国内でのO26クローンの分布状況やそのゲノムの特徴などはほとんど明らかとなっていない。
本研究では、O26ヒト由来臨床株(海外株約50株、国内株約250株)に加え、ウシ由来環境株約50株について、ゲノム情報を取得し、ファイロゲノミクス解析を行った。その結果、国内のO26のほぼすべてがST21に分類され、ヨーロッパで蔓延しているST29は日本へはほとんど伝播していないこと、国内ではST21に属する大小2つの主要系統(clonal expansion)が存在することが明らかとなった。また、その2つの主要系統群には、ウシ由来株も多く含まれており、ヒトに特異的に適応したクローンでは無いことが示唆された。現在、clonal expansionに関わる遺伝的要因の解明を行っているところである。
会員外共同研究者:伊藤武彦(東工大)、Mainil Jacques (リエージュ大)、吉野修司、黒木真理子(宮崎県衛環研)、磯部順子、木全恵子(富山県衛研)、勢戸和子(大阪府公衛研)、江藤良樹、前田詠里子(福岡県保環研)、楠本正博、秋庭正人(動衛研)、桂啓介、後藤恭宏、大岡唯祐、林哲也(宮崎大)
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