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P14-02 : 454シーケンスによる真核ピコ植物プランクトン群集構造解析における試料保存法の有効性
Posted On 20 10月 2014
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1国環研, 2水産総合研究セ・東北区水産研
真核性海産藻類の中で細胞サイズが3µm以下のピコ植物プランクトンは、生物量及び生物学的多様性が高く、物質循環等、海洋生態系において重要な構成要素である。しかし、微小な細胞や難培養性種が多く、培養法や顕微鏡による群集解析は困難である。ピコ植物プランクトンの機能や役割を理解する為には、メタゲノム解析による網羅的な群集解析は有効な手段となり得るが、一部の真核性ピコ植物プランクトンの細胞は脆く、現場の群集構造が急速に変化するため、試料の保存方法に改善の余地がある。本研究では、海産性真核ピコ植物プランクトンを対象として、環境試料を凍結し現場の群集を維持した保存試料を作成した後、フローサイトメトリーによりピコ植物プランクトン区分の細胞を分取し、対象を絞った高精度な解析を行った。仙台湾の2地点で採集した表層水から凍結・未凍結試料を作成し、454アンプリコン分析により18S rRNA遺伝子組成を比較した。操作上分類単位(OTUs: 95%相同性)は、両地点ともに凍結・未凍結処理間でほぼ同数であったが、クラスター解析では処理の有無で異なる組成となり、試料保存法により検出される群集組成が異なった。各OTUsの系統的位置を推定すると、未凍結試料にはAmoebophryaに属するOTUsが顕著で、試料採集後に植物プランクトンを補食した系統群を検出した可能性が考えられた。その他のOTUsでは処理毎の偏りは少なく、特に門以上の高次分類群の組成に顕著な差は見られなかった。高次分類群に着目した場合、凍結処理により群集組成に大差はないが、繰り返し試料を得られ、長期保存が可能な凍結処理が有用であると考えられた。
keywords:454 sequencing,Eukaryotic picophytoplankton,Marine environment,Community composition,18S rRNA gene