P12-07 : 青枯病菌 Ralstonia solanacearum の病原性株と非病原性株との競合
Posted On 20 10月 2014
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1熊本県立大・院・環境共生, 2滋賀大・教育, 3熊本県立大・環境共生
青枯病は,ナス科植物など200種以上の植物を侵す土壌伝染性病害である.本病原菌(野生株)は培地・土壌・植物内で表現型変異し,病原性を失った非病原性株(PC株)になる.PC株をナス科植物に前接種すると,青枯病の発病が抑制される.本研究では,青枯病菌の野生株とPC株との競合に着目し,液体培地・土壌・植物中の3条件下での両菌株の増殖を調査した.野生株とPC株を同時に,BG液体培地中(102 cfu/ml)と土壌中(106 cfu/gDW)に混合接種し,接種後24日間の菌数を経時的に調査した.液体培地で混合培養すると,培養初期では両菌株とも同様に108 cfu/mlまで増殖し,その後,野生株の菌濃度が102 cfu/mlまで低下した.また,PC株の野生株に対する抗菌作用はなかった.土壌中では,両菌株の菌密度は105 cfu/gDW前後で一定に推移した.野生株とPC株との競合は液体培地中で観察され,土壌中ではみられなかった.1葉齢のナス’千両2号’を両菌株の混合土壌(105-106 cfu/gDW)に移植し,接種後7日目の茎内の菌数を確認した.茎内の野生株の菌密度は,PC株の接種の有無に関わらず,発病個体では約109 cfu/gFWと高く,非発病個体では約104 cfu/gFWと低かった. 一方,茎内のPC株の菌密度は,発病の有無に関わらず102-103 cfu/gFWと低かった.すなわち,両菌株を同濃度で同時接種した植物において,野生株の増殖と無関係にPC株は低密度で存在し,野生株の増殖量に影響を及ぼさなかったことから,植物内では両菌株の競合は認められなかった.
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