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P11-1 : 白神山地の樹木の表面に生息する細菌に関する研究
Posted On 20 10月 2014
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1弘前大・農, 2弘前大・農
1993年に一部が世界自然遺産に登録された白神山地は、人為的影響をほとんど受けていない世界最大規模の原生的なブナ林が分布し、多種多様な動植物が生息・自生するなど貴重な生態系が保たれている。樹皮は日光の照射、乾燥、昼夜の温度変化などのストレスに絶えず晒されている環境であるが、コケ類や地衣類がその表面を覆っていることから、独特な微生物生態系が築かれている可能性が考えられる。しかし、樹木表面の微生物に関する研究はほとんど知られていない。そこで、今回、白神山地樹木の樹皮上面に生息する細菌についての研究を行ったので報告する。 本研究では弘前大学白神自然環境研究所附属白神自然観察園と高倉森の樹木(ブナ、ヤマナラシ、ウダイカンバ)の樹皮表面に生息する細菌を対象にと培養非依存的方法であるDGGEを用いた細菌群集構造解析と培養依存的方法による解析を行った。また、培養法によって分離された細菌株の中から系統的に新規性の高いDeinococci綱に属する細菌株について詳細に解析した。 細菌PCR-DGGEのバンドパターンは同一樹種間では比較的類似していたが、異なる樹種間では差異がみられ、樹皮表面には樹種に依存した細菌群集が形成されることが推察された。培養法によって多様な細菌が分離された。分離菌株のうちPtRA-8は環境ストレスに高い耐性を示すことが知られているDeinococci綱細菌であり、系統的に新規性が高く、紫外線に対して高い耐性を示した。PtRA-8株は世代時間が非常に長い難培養細菌であった。現在、PtRA-8株の系統分類学的研究解析とストレス耐性に関する特徴付けにより生態の考察を試みている。
keywords:Shirakami-Sanchi,DGGE,bacterial community structure,Deinococcus,novel bacteria