S32-04 : 微生物細胞間シグナルの利用による革新的水処理技術への挑戦
Posted On 20 10月 2014
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1筑波大学 生命環境系
生物学的水処理は複合微生物系を用いた環境バイオテクノロジーの中で最も成功し,世界中で汎用されている技術の一つである.そこには,複合系特有の課題を含んでおり,その解決は水処理技術の安定化,効率化や汚泥の減容化に繋がるだけでなく,複合微生物系制御の指針となることが期待される.我々は複合微生物系制御の中で,いかにして特定の微生物群のみを制御するかについて研究を行ってきた.そこで注目しているのが,微生物間コミュニケーションである.細菌は,低分子化合物(シグナル物質)を用いてお互いにコミュ二ケーションを行っていることが明らかとなっている.シグナル物質は特異的な受容体によって認識されるため,シグナル物質の利用によって,受容体を有する特定の微生物群のみの制御を実現できることが期待される.これまでに,当研究室では水処理過程の中で窒素除去に関わる硝化・脱窒について研究し,脱窒が微生物間コミュニケーションによって制御されることを見出した.さらには,硝化についてもシグナル物質の関与を示唆するデータが得られている.また,バイオファウリングをシグナル物質で制御できる可能性がある. 微生物間相互作用は“社会性”の柱である.本発表では,微生物細胞間シグナルによって,いかにしてより良い“社会”(ヒトにとって)を築いていけるのかを,独自に開発した解析技術も含めて紹介する.
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