P21-20 : スナモグリが優占する砂質干潟における細菌群集構造と代謝機能の時空間変動
Posted On 20 10月 2014
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1長崎大学 水産・環境科学総合研究科, 2, 3, ,
【目的】熊本県天草郡の富岡湾砂質干潟にはハルマンスナモグリNihonotrypaea harmandi(以下、スナモグリ)が優占している。本研究は富岡湾干潟においてスナモグリが細菌群集構造と代謝機能に及ぼす影響の解明を目指した。
【方法】2011年7月から2013年8月まで富岡湾干潟においてスナモグリの巣穴部、非巣穴部、を含む堆積物を採取し、真正細菌のrITS断片長多型解析(ARISA)と16SrRNAクローン解析を行うとともに、全細菌数および全有機炭素量を測定した。一部のサンプルでは、アンモニア酸化細菌のamoA遺伝子のクローニングと定量、in vivo ETSA法による群集呼吸活性測定も行った。
【結果】干潟表層の有機炭素量は0.9-2.7mg/g乾燥重,全細菌数は0.9—6.5×109 cells/ml堆積物の範囲にあり,季節や巣穴の有無による有意差はなかった。細菌群集の多様性は,門レベルでは季節や巣穴の有無、分布密度に関わらず概ね一定であり、主にα、γおよびδグループからなるプロテオバクテリアが優占していた。一方、種~亜種レベルでは、採集時期やスナモグリの生息分布密度の違いによって細菌群集構造は大きく変動した。amoA遺伝子の多様性は低く,巣穴の有無やスナモグリの分布密度によって遺伝子量に顕著な違いはなかった。堆積物の還元物質による酸素消費活性は、スナモグリの分布密度と有意な負の相関を示し、スナモグリが干潟表層の酸化に寄与していると考えられた。
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