O33-07 : Every gene is everywhere, but the environment selects
Posted On 20 10月 2014
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1東大・大気海洋研, 2東レ株式会社, 3, ,
1934年、オランダの微生物学者Beckingは「Everything is everywhere, but the environment selects」という言葉により、環境中にはコスモポリタン種が広く分布するが、ある環境条件がその中の特定群を選択する、という考え方を示した。遺伝子解析手法が急速に進歩しつつある今日、80年前のこの言葉の妥当性が新たな手法で検証されつつあるが、我々は「Everything is everywhere」と言い切ることはできない、と判断している。つまり、確かにコスモポリタン種がある一方で、その分布が特定の場に限定される固有種があるという考え方である。一方、(メタ)ゲノム情報の蓄積は、種の構成よりも、それらの基礎となっている遺伝子群の構成についての情報をもたらしてきた。そこで我々は「Every gene is everywhere, but the environment selects」という仮説を置くことにする。すなわち、環境条件が異なっても共通した遺伝子群が広く微生物群集の中に分布し、その発現が環境に応じて変動する、と考える。この仮説の基礎は、種は異なる遺伝子群の組み合わせで規定され、遺伝子は伝播し、異なる種間で“使い回され”、容易に脱落することはない、ということである。もしこの仮説が正しいならば、複数の環境条件下でその微生物群集構造が異なったとしても、遺伝子群構造は共通性を見せる、と考えられる。
本発表では、この仮説を検証するために海水淡水化施設の逆浸透膜上に発生したバイオフィルムにメタマルチオミクスを適用した例を紹介する。
keywords:海洋微生物,微生物生態,環境適応,メタオミクス,セントラルドグマ