S13-06 : 腸内細菌代謝経路データベースの構築
Posted On 20 10月 2014
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1東京工業大学 生命理工学研究科 生命情報専攻
ヒト腸管内には数多くの細菌が我々とともに共生しており、複雑な生態系を構築している。シーケンサーの技術的な発展やメタゲノム解析の登場により、培養を介さずに網羅機に細菌群集を解析対象とすることが可能となった。これまでには取り扱いが困難であった難培養性細菌も数多く明らかになりつつある。腸管内共生菌はビタミンの合成や短鎖脂肪酸分解系など、特徴的な代謝機能を持っており、さらには、細菌群集として複数種の細菌種が協調して働く例も報告されている。このような細菌の代謝機能は既存のデータベースに遺伝子とその反応経路が対応付けられてまとめられている。しかしながら、細菌群集という単位でその代謝機能をまとめたデータは現時点では存在していない。また、メタゲノム解析により多くの未知な機能を持つ遺伝子が報告され、個別ゲノム用に用意されているデータベースでは捉えきれない遺伝子機能も数多く存在している。
本研究では、文献情報をもとにした腸管内共生菌の代謝機能を整理し、腸内細菌の代謝機能多様性の解明にむけての基盤データベースの構築を目的としている。菌叢代謝経路を文献から網羅的に抽出することで、202の代謝反応、143の化合物、70の反応経路モジュールを新規に抽出し、既存のデータベースに蓄積されている反応経路情報を加え、2613の代謝反応、2552の化合物、287の反応モジュールを格納したenteroPATHWAYデータベースを構築した。さらに、これらの経路を可視化したツールを作成、既存のメタゲノムデータをマップすることを可能にした。
keywords:腸内細菌,代謝経路,データベース