S12-05 : 次世代シーケンシングが切り拓く「共生ゲノム学」
Posted On 20 10月 2014
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20世紀までの共生研究は記載的な博物学的・生態学的研究が主であったが、21世紀に入るとゲノム解析技術の発展により、複雑な共生のシステムを遺伝子や分子の言葉で理解できるようになってきた。特に最近では、次世代シーケンシング技術などにより共生のゲノム科学は急速に発展しつつある。そのような背景で登場した「共生ゲノム学」は、ゲノム科学的アプローチで共生を理解することを目指した、新しい研究領域である。本講演の前半では、多様な共生系の共生ゲノム学的研究の動向を紹介するとともに、新しいシーケンシング技術を共生研究に適応する際の方法論を議論する。後半では、共生研究のモデルであるアブラムシとその共生細菌ブフネラの細胞内共生において、共生ゲノム学的研究を通して最近私たちが発見した、新規の分泌性タンパク質ファミリーについて報告し、このタンパク質が共生に果たす役割とその進化について議論する。そして、共生進化の普遍原理~プリンシプル~について考察する。
keywords:共生,アブラムシ,ゲノム,次世代シーケンシング