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S12-01 : 糸状菌、特にエンドファイトの諸形質を内生細菌がコントロールするのか?
Posted On 20 10月 2014
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茨城大学農学部
生物間における共生的結びつきは、多くの生物群で見出され、互いの生物の生存・繁殖に不可欠なものとなっている。糸状菌類では、植物との共生関係はよく知られており、実際に農業場面へと利用されている。しかし、細菌との同様の関係は、一部例外を除き(例えば、Partida-Martinez & Hertweck , Nature2005)、あまり注目されていない。当研究グループでは、糸状菌類に普遍的にバクテリア細菌が共存している可能性を検証し、菌学や微生物学分野での新しい概念構築を目指している。この仮説が証明されれば、これまで糸状菌単独の能力と思われていた諸形質をバクテリア細菌がコントロールしているという新たな事実がもたらされる。今までに、ある種の糸状菌には細菌が内生し、その特性によって異なる内生細菌を保有する可能性があることを示唆している。 そこで、本講演では、糸状菌、特にエンドファイトを取り上げ、内生細菌の存在、そして、内生細菌によるエンドファイトの有する諸形質のコントロールに関する知見を紹介する。さらに、糸状菌が本来持たない代謝能を有する細菌を糸状菌に内生化させ、宿主糸状菌に新たな代謝能を付与する新たな形質転換体の作出技術に関する最近の取り組みに関しても紹介する。
keywords:エンドファイト,内生細菌,共生