O23-01 : オートクレーブ処理におけるPCR産物および組換え大腸菌由来DNAの鋳型活性の残留について
Posted On 20 10月 2014
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1産総研・バイオメディカル
オートクレーブは微生物実験・生化学実験におけるサンプル・試薬・器具などの前処理・滅菌、および実験廃棄物の不活化に必須の手法として多用されている。しかし、オートクレーブが媒介する遺伝子サンプルのコンタミネーションについてはほとんど注意が払われて来なかった。我々は剥き出しのPCR産物をオートクレーブチャンバー内に設置した際に水蒸気の流れを介してオートクレーブ内の水にPCRの鋳型活性が移行することから、オートクレーブが実験室や滅菌処理した器具を汚染してしまう可能性を明らかにした(1)。一方でPCR産物中のDNAは長時間オートクレーブをかけることにより分解処理できることも明らかした(1)。しかし、最近の実験から、培養した大腸菌の細胞内に存在するDNAの分解は非常に難しく、通常のオートクレーブ処理ではどんなに長時間処理しても除ききれないことが分かってきた。本発表では、一般的な組換え大腸菌をオートクレーブ処理する際に残留してしまう遺伝子DNAのPCR鋳型活性の定量結果を示すとともに、培養廃液からPCR鋳型活性を除去するための改善の試みについて紹介する。
参考文献:1. Suyama T., and M. Kawaharasaki. 2013. Decomposition of waste DNA with extended autoclaving under unsaturated steam. BioTechniques. 55:296-299.
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