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O22-03 : 養殖場由来Vibrio sp.が保有する伝達性多剤耐性プラスミドの受容菌染色体への組み込み機構
Posted On 20 10月 2014
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1獨協医大・医 , 2京大・医, 3東大・新領域, 4愛媛大・沿岸研セ, 5豊橋技科大・環境・生命工学・エレクトロニクス先端融合研
【背景・目的】 細菌間における耐性遺伝子伝達機構の解明は、抗菌薬を使用する様々な現場における耐性菌出現・拡大の機構を理解する上で必要不可欠である。本研究では養殖場から分離された多剤耐性菌が保有する伝達性プラスミドのうち、受容菌の染色体に組み込まれるタイプに着目し、その詳細な機構を明らかにすることを目的とした。 【方法】 養殖場底泥より分離したVibrio sp. 04Ya108および大腸菌W3110株を用いて接合伝達実験を行い、得られた接合体TJ108W0の全塩基配列を454 GS FLX+を用いて決定しVibrio sp. 04Ya108から大腸菌へ伝達している全遺伝情報を明らかにした。また複数の接合体について、大腸菌染色体上におけるプラスミド挿入部位を明らかにした。 【結果・考察】 Vibrio sp. 04Ya108が保有していたプラスミドは約330kbであり、type IV secretion 関連遺伝子および7つの薬剤耐性遺伝子をコードしていた。接合体の染色体上ではインテグラーゼ遺伝子を含む13kbの領域が少なくとも2コピー存在し、その間にプラスミドゲノムが組み込まれていた。このVibrio株由来の領域の組み込みの機構として、伝達されたプラスミドからまずインテグラーゼをコードする13kbの領域が切り出されて、大腸菌染色体へ組み込まれた後、この転移領域と別コピーのプラスミド上の13kbの領域との相同組換えが生じることでプラスミド全長が染色体へ取り込まれる2段階モデルが考えられた。
keywords:transferable plasmid,chromosomal integaration,multi-drug resistance ,,