O22-01 : Biologプレートを用いたアサリ漁場の特性評価
Posted On 20 10月 2014
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1水研セ・瀬水研, 2水研セ・日水研, 3水研セ・増養殖研, 4兵庫農水技総セ, 5愛知水試
【目的】アサリ漁場の土壌微生物群集について炭素源利用能を調査し,得られた情報から漁場の特性(生産性と生物多様性等)を評価することを検討した。【方法】2013年夏期に国内5カ所(海の公園,一色,赤穂,廿日市,中津)のアサリ漁場においてBiologプレート(Biolog社GN2)を用いて,干潟土壌中の細菌群集の炭素源利用能を調べた。調査は,1漁場内3定点で各々3本の表層1cm土壌を採取し,滅菌2.5%NaCl水で1000倍希釈した後,プレートに接種し,培養(23℃48h)後の発色量をマイクロプレートリーダー(590nm)で測定した。95種類の炭素源について発色量の大きさから資化順位をつけ,得られた資化順位表からアサリ漁場の特性解析を行った。【結果と考察】アサリの単位面積当たり漁業生産量と細菌群集のグリコ―ゲン資化順位との間に有意な相関が認められた(P<0.05)。また,甲殻類(えび類・かに類合計)とあさりの生産量の相対量に着目すると,甲殻類の生産量がアサリのそれよりも多い漁場では,N-アセチルグルコサミン(甲殻類の殻成分)資化順位がグリコーゲン(二枚貝類等の貯蔵糖)資化順位よりも上位になっていた。一方,漁場海面の栄養塩の年間平均濃度に着目すると,T-Nが小さい3漁場(中津,赤穂,一色)では,N含有有機物が資化順位1位に,Pが小さい廿日市では,P含有有機物が資化順位1位に,T-NもPも豊富な海の公園では,NもPも含まない還元糖が資化順位の上位を占めていた。細菌群集の炭素源利用能の情報からアサリ漁場(干潟漁場)の特性を評価する手法が提案された。本研究は,水産庁事業の委託を受け行った。
keywords:carbon source utilization,biodiversity,Manila clam,microbial community,Ruditapes philippinarum