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O21-03 : リグニン分解能を付与した褐色腐朽菌 Gloeophyllum trabeum KU-41株の分子育種
Posted On 20 10月 2014
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1静大・院 農, 2東北農研セ, 3宮崎大・農, 4九大・農院, 5静大・グリーン研
【緒言】
Gloeophyllum trabeum(キチリメンタケ)KU-41株は、日本の森林面積の約6割を占めるスギの分解に優れた菌である。しかし、本菌は褐色腐朽菌であるため、セルロースやヘミセルロースを主に分解し、リグニンを分解することは出来ない。長年の間、褐色腐朽菌はリグニン分解酵素を生産しないと考えられてきたが、近年推定上のラッカーゼ遺伝子の存在がキチリメンタケのデータベースで発見された。
そこで本研究では、G. trabeum KU-41株にこの内在性のラッカーゼ遺伝子を強制発現させ、リグニン分解能を付与することを目的とした。
【実験及び結果】
まずG. trabeum KU-41株の特性について検討したところ、本菌は広葉樹であるブナ木粉より針葉樹であるスギ木粉の分解に優れていることが再現された。また、本菌はアルコール発酵能も有しており、針葉樹材の木質バイオリファイナリーに適した菌である事が判明した。しかしながら本菌は褐色腐朽菌であるためリグニン分解能を有さず、効率的なバイオリファイナリーを行うにはリグニン分解能の付与が必要不可欠である。そこで、本菌にリグニン分解能を付与すべく、マーカー遺伝子であるハイグロマイシン耐性遺伝子及びラッカーゼ遺伝子(GPD遺伝子プロモーター利用)をG. trabeum KU-41株に共形質転換した。ラッカーゼ遺伝子の導入が認められた形質転換株の中より、L#61株をラッカーゼ高生産菌として選抜し、スギ脱脂木粉に接種した結果、野生株より有意に高いリグニン分解率が認められたことから、キチリメンタケへのリグニン分解能付与に成功した。
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