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O12-08 : Rhodococcus sp. Br-6株による複数の酸化還元メディエーターを介した臭素酸還元メカニズムの解明
Posted On 20 10月 2014
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1千葉大・院・園芸
臭素酸(BrO3–)は浄水場でのオゾン処理によって臭化物(Br–)が酸化され発生する物質で、発がん性が報告されている。微生物による臭素酸還元の報告は複数存在するが、還元速度は非常に遅く、そのメカニズムにも不明な点が多い。我々は、既知細菌と比較して100倍以上速い臭素酸還元速度を示す土壌細菌Rhodococcus sp. Br-6株を分離している。本研究では、Br-6株による臭素酸還元の詳細なメカニズムの解明を目的とした。Br-6株による臭素酸還元は、微好気条件下においてのみ効率的に進行し、酢酸の存在下で化学量論的に臭化物を生成した。この際に、DCIPなどの酸化還元メディエーターが存在すると還元速度が著しく上昇した。洗浄菌体による還元速度はDCIP存在下で42.4 nmol/h/mg cell、DCIP非存在下では2.46 nmol/h/mg cellであった。Br-6株の無細胞抽出液中にはDCIPを還元する酵素ジアホラーゼ活性が存在した(比活性 147 mU/mg)。一方、還元型DCIPと臭素酸は直接反応せず、鉄イオンが第2のメディエーターとして介在し、臭素酸を還元することが示唆された。実際に還元型DCIPとFe(Ⅲ)、Fe(Ⅱ)と臭素酸は非生物的に反応することが示された。以上のことから、Br-6株の有する酵素ジアホラーゼがDCIPを還元し、還元型DCIPがFe(Ⅲ)を還元、生じたFe(Ⅱ)が臭素酸を非酵素的に還元するモデルが考えられた。
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