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O12-07 : ヒ酸呼吸菌Geobacter sp. OR-1株のプロテオーム解析
Posted On 20 10月 2014
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1千葉大・院・園芸・微生物工学, 2Los Alamos National Laboratory, 3愛媛大・沿岸研セ, 4山口大・院・理工
Geobacter sp. OR-1株はGeobacter 属細菌で唯一ヒ酸呼吸能を持ち、電子受容体に鉄やフマル酸も利用できる。ドラフトゲノム解析よりOR-1株は解毒的ヒ酸還元酵素遺伝子(arsC)および異化的ヒ酸還元酵素遺伝子(arrAB)を中心とする2種類のヒ素代謝遺伝子群を持つことが分かっている。本研究ではヒ素の存在下で発現するタンパクを網羅的に特定するため、電子供与体に酢酸、電子受容体にフマル酸のみ、またはフマル酸とヒ酸を添加した条件でプロテオーム解析を行った。その結果、いずれの条件においてもクエン酸合成酵素、GAPDHが検出され、TCA回路と糖新生による酢酸の利用が示唆された。またNADH脱水素酵素、ATP合成酵素、フマル酸還元酵素などエネルギー代謝に関わるタンパクの発現が確認された。さらにシトクロムcやジオピリンなどGeobacter 属細菌に特徴的な電子輸送体の発現も確認された。一方、ヒ素の存在下ではarsC近傍のヒ素排出ポンプAcr3、ストレスタンパクの制御に関わるUspA、亜ヒ酸運搬シャペロンArsD、テトラチオン酸還元酵素サブユニットBなどが特異的に発現し、ヒ素の解毒に関わる遺伝子群の協調的な発現が示唆された。また、抗酸化能を持つペルオキシレドキシンや走化性タンパクも検出されOR-1株のヒ素に対する防御機構の一端がうかがえた。一方、ヒ素存在下においてArrABペプチドは検出されなかったが、RT-PCR法を用いて転写解析を行った結果、ヒ素の存在下でarrAB、arsC、acr3の転写が確認されており、ヒ素還元酵素の発現が誘導されていることが示された 。
keywords:proteomic analysis,arsenate reduction,Geobacter,,