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O11-06 : 亜ヒ酸濃度が土壌中の亜ヒ酸酸化細菌群集構造に及ぼす影響
Posted On 20 10月 2014
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1千葉大・園芸, 2国立環境研, 3農環研
亜ヒ酸酸化細菌は土壌中亜ヒ酸の酸化に相当の影響を及ぼすことが知られている(Dong et al., SSPN, 2014) 。しかしながら、亜ヒ酸濃度が土壌の亜ヒ酸酸化速度や亜ヒ酸酸化細菌群集構造に及ぼす影響はよく分かっていない。そこで本研究では、国内の水田土壌を種々の濃度の亜ヒ酸と共に培養し、その酸化速度と微生物群集構造の変化を調べた。土壌スラリーに亜ヒ酸を終濃度0.05、0.5、5 mMとなるように添加し、好気条件で振盪培養を行った。HPLC-ICP/MSにて液相中のヒ素濃度を測定したところ、亜ヒ酸はそれぞれ0.88、4.54、22.72 μmol day-1 g-1の速度で酸化された。16S rRNA 遺伝子を対象としたPCR-DGGEでは、亜ヒ酸濃度の上昇に伴い細菌群集の多様性が低下した。また亜ヒ酸酸化酵素遺伝子(aioA)を対象としてaoxBM1-2F/aoxBM3-2R及び aroA95F/aroA599Rプライマーを用いたクローニングにより、亜ヒ酸酸化細菌群集構造解析を行った。その結果、亜ヒ酸濃度の増加に伴いaioAの多様性が低下し、いずれのプライマーを用いた場合でも5 mM亜ヒ酸添加条件でBosea属細菌に近縁なクローンが優占していた。以上の結果から、今回用いた土壌では亜ヒ酸濃度の増加に伴い、亜ヒ酸酸化速度の上昇と亜ヒ酸酸化細菌群集の収束が起こることが分かった。Alpha-proteobacteriaに属す亜ヒ酸酸化細菌は、高濃度の亜ヒ酸に対し耐性が高い、または高濃度の亜ヒ酸存在下でも酸化速度を高く維持できるため優占化すると考えられた。
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