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O29-04 : テンサイ主根に共生する細菌のメタゲノム解析
Posted On 20 10月 2014
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1東北大・院生命科学, 2北農研, 3山形県農総研セ, 4中央農総研セ, 5食総研
テンサイ主根に共生する細菌が持つ植物生育促進因子を調査するため、テンサイ共生細菌のメタゲノム解析を行った。調査した植物生育促進因子に関わる機能性遺伝子の中で、リン酸溶解能に関わるglucose dehydrogenaseの検出頻度が最も高かった。次に、メタノール利用性(methanol dehydrogenase)や病害抵抗能に関わる遺伝子(β-1,3-glucanaseやchitinase)などが、比較的高い頻度で検出された。これらの結果は、これらの生育促進因子が、テンサイ生育を支えるのに重要な役割を担っている可能性を示している。一方、これらの生育促進因子と比べて、IAAやPQQ生産能に関わる遺伝子の検出頻度は低かった。また、窒素固定遺伝子は、検出されなかった。テンサイ主根の窒素固定活性は、15N2投与実験でも検出されなかった。窒素代謝関連遺伝子の解析結果は、共生細菌が、アンモニアとニトロアルカンを主な窒素源として利用していることを示した。これらの結果は、テンサイ生育に対して、窒素固定、IAA、PQQなどの貢献度が低い可能性を示している。メタゲノム配列のtaxonomic assignment解析結果は、Mesorhizobium、 Bradyrhizobium、Streptomyces属細菌の相対存在比がそれぞれ高いことを示した(それぞれ約10%)。この結果は、これらの細菌が、テンサイ主根に対して高い定着能を持つ可能性を示している。テンサイ共生細菌の機能性遺伝子の特徴を明らかにした本研究成果は、テンサイ生育促進細菌の効率的な分離方法の確立にとって有用な情報となるだろう。
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