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O29-01 : 根圏微生物がダイズ根粒着生数に与える影響に関して
Posted On 20 10月 2014
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1農工大
根圏微生物がダイズの根粒着生数に与える影響の実態は不明である。そこで、異なるダイズ品種を日本各地で栽培し、根面と根内から土壌微生物を単離後、コロニーの色や形態等の違いに基づき150株を選抜した。次に、ダイズが元来持っている根粒を過剰に着生させない特性(根粒着生を抑制する機構)が欠損している根粒超多着生変異体ダイズ(Nod1-3)を滅菌培地で発芽させ、上記の株から79株に関して、それら土壌微生物を別々にNod1-3の根圏に先行接種し、1週間後にダイズ根粒菌USDA110株を接種後、約2週間栽培した。その後、各土壌微生物の先行接種が後から接種した根粒菌の根粒着生数に与える効果を評価した。根粒着生を抑制する機構が欠損している根粒超多着生変異体ダイズNod1-3への根粒着生数は、土壌微生物を先行接種しない対照区では、1049±50であった。一方、十勝地方のダイズ品種大袖から単離した株の先行接種はNod1-3への根粒着生数を17±2(対照区の1.6%)に減少させ、一方、佐賀のダイズ品種ムラユタカから単離した株の先行接種はNod1-3への根粒着生数を1201±37(対照区の114%)に増大させた。このように、土壌微生物の先行接種は、Nod1-3への根粒着生数を大きく変動させた。また、試験した79株の土壌微生物のうち、その81%は先行接種により根粒着生数を対照区の50%以下に減少させ、土壌微生物のダイズ根への先行感染は、根粒着生を抑制する傾向が強いことが分かった。また、根粒着生数の変動は、根圏微生物感染が誘導する植物の抵抗性遺伝子の発現量と関連性が示唆された。
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