Previous Story
O27-05 : 太陽熱土壌消毒が土壌微生物群集に及ぼす影響の解析
Posted On 20 10月 2014
Comment: Off
1名大・農, 2名大・院・生命農
[目的]太陽熱土壌消毒は臭化メチル剤代替技術として普及が期待されている。本消毒では土壌が高温となり病原菌が死滅するだけでなく、土壌微生物群集全体も大きな影響を受けると考えられるが、病原菌以外の土壌中の微生物への影響は十分には調査されていない。そこで、太陽熱土壌消毒が土壌中の細菌、糸状菌、アンモニア酸化細菌群集に及ぼす影響を室内培養実験とハウス試験により分子生態学的手法を用いて解析した。[方法]土壌を容器に入れ密閉し、恒温器内で45℃の熱処理を14日間行い、経時的に土壌試料を採取した。また、太陽熱土壌消毒を行っている隔離床土耕トマト栽培ハウスより、消毒処理後のトマト栽培期間を含め土壌試料を経時的に採取した。これらの土壌試料について微生物バイオマス炭素の測定と、抽出したDNAについて細菌・糸状菌群集のDGGE解析とアンモニア酸化細菌の定量PCR解析を行った。 [結果]室内培養実験による45℃の熱処理及びハウス試験での太陽熱土壌消毒処理により、土壌微生物バイオマス炭素は半減し、細菌及び糸状菌群集のDGGEパターンは影響を受け大きく変化した。特に、ハウス試験の消毒処理期間では、表層(0~5cm)の土壌のDGGEパターンにより大きな影響がみられた。室内培養実験及びハウス試験のどちらの場合も、アンモニア酸化細菌のamoA遺伝子数は熱処理あるいは太陽熱土壌消毒処理により1桁程度低下した。ハウス試験では、消毒処理後のトマト栽培期間に微生物バイオマス炭素とamoA遺伝子数は増加する傾向があった。以上より、太陽熱土壌消毒は土壌微生物群集の存在量と種類構成に大きな影響を及ぼすことが明らかになった。
keywords:太陽熱土壌消毒,土壌微生物群集,細菌,糸状菌,アンモニア酸化細菌