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O27-04 : Bacillus属細菌が産生する抗菌性環状リポペプチドiturinのレタス根腐病抑制効果
Posted On 20 10月 2014
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1東農大・応用生物
Iturinは拮抗性Bacillus属細菌が生産する環状リポペプチドであり、広範な抗真菌スペクトルを示す。本物質及びその類縁体は、植物病害抑制効果を示すBacillus菌株の殆どに生産性が認められることから、病害抑制効果の主体となることが予想されてきた。しかし、本物質が植物病害抑制効果を示す直接的な報告例は見当たらない。本報では、iturinの植物糸状菌病害抑制効果を明らかにすることを目的として、レタス根腐病に対する病害抑制効果を評価した。IturinはB. subtilisの培養液から有機溶媒抽出後、順相及び逆相カラムクロマトグラフィーにより精製した。病原菌にはFusarium oxysporum f. sp. lactucaeを用い、レタスはパトリオットを用いた。病原菌接種は、レタス苗の根部を分生子懸濁液に浸漬後、土壌へ移植した。栽培はガラス冷暖房温室内(24℃、自然光)で行った。病原菌処理濃度を105 cells/mLとして、iturinを0.47、0.94、1.88 mg/L土壌 添加したところ、有意な病害抑制効果が認められた。一方、3.75 mg/L土壌以上のiturin濃度では、病害抑制効果が認められず、iturinの病害抑制効果には至適濃度域が存在した。病原菌処理濃度(cells/mL)を106としても、105と同様の傾向を示した。なお、iturin 7.5mg/L土壌として病原菌無処理のレタスを栽培しても、生育阻害や病徴は確認されなかった。Iturinの病害抑制効果における至適濃度域の存在は、病害抑制にはiturinの抗菌活性以外の機構の存在を示唆した。
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