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P22-14 : 有機物添加が水稲湛水直播の出芽に及ぼす影響と種子近傍土壌の微生物相解析
Posted On 20 10月 2014
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1近畿中国四国農研セ
【背景】水稲直播栽培は省力化・低コスト化が可能な栽培技術であるが、出芽、苗立ちの不安定さが普及拡大の障壁となっている。出芽が不安定な原因の一つとして、微生物活動に伴う種子近傍土壌の強還元化が報告されているが、その過程に関わる微生物群集については解析されていない。本研究では、有機物添加による水稲の出芽に及ぼす影響を明らかにするとともに、種子近傍土壌の微生物相変化をPCR-DGGE法により解析した。
【方法】 1) 有機物の添加が出芽に及ぼす影響
風乾水田土壌のみ(有機物無添加)、および風乾水田土壌と稲わら粉末を混和して(有機物添加)プラスチック容器に充填、湛水した後、水稲種子(コシヒカリ)を土中約1cmに播種し30℃で培養した。
2) アクリルボクッスを用いた種子近傍土壌の採取と微生物相解析
直播種子近傍土壌を側面から採取できるアクリルボックスを作成し、風乾水田土壌とメチレンブルーを充填後、純水を加え土壌の色が一様になるように撹拌した。ここに、水稲種子を播種し、30℃で培養した。経時的に採取した各処理土壌からDNAを抽出後、真正細菌16S rDNAのV6-8領域のPCR産物をPCR-DGGEに供した。
【結果】表面播種では、約90%が出芽したのに対し、有機物無添加区は約60%、有機物添加区では約10%まで低下した。直播種子近傍では、メチレンブルーの色が消失し、還元化していることが明らかとなった。また、種子近傍土壌のPCR-DGGE解析では、有機物添加の有無に関わらず、経時的なDGGEバンドパターンの変化が確認でき、還元化に伴い微生物相が変化していることが示された。
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