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P22-10 : マングローブ林からのメタン放出と微生物性(予報)
Posted On 20 10月 2014
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1千葉大・園芸, 2ベトナム国立カントー大・環境, 3ベトナム国立カントー・先端技術研, 4ベトナム国立カントー大・水産, 5インド国立リモートセンシングセ
水産業と地球温暖化に伴う海面上昇の影響を受けているマングローブ林の温室効果ガス放出量と関与する土壌の微生物性を評価するため、予備調査を行った。 2014年6月にベトナム・メコンデルタ内ソクチャン省およびカマウ岬内マングローブ林の海岸からの距離が異なる複数の地点を対象に、温室効果ガスフラックス測定用チャンバーを設置した(各調査地点2~4反復)。また、マングローブ林土壌3g(乾物重)を22mlゴム栓付試験管にて30℃嫌気・好気条件で培養し、土壌および培養に用いた海水の理化学性が温室効果ガス生成土壌微生物活性に及ぼす影響を評価した。 カマウ海岸沿いで最も高いCH4フラックスが検出された。海岸沿いを除いたガス採取地点ではチャンバー内の筍根密度が高いほど、CH4フラックスは高くなった。培養試験の結果、土壌・海水中の硫酸濃度が低いほどCH4生成活性が強くなる傾向が認められた。 以上の結果から、海面水位が潮汐運動によって大きく変化する海岸沿いのマングローブ林土壌では、土壌中の硫酸濃度が高いにもかかわらず、高いCH4フラックスが検出される可能性が認められた。また海岸沿いでなくても、筍根からCH4の放出が認められた。 以上より、海岸部の水位変動および筍根密度がマングローブ林からの温室効果ガス放出量を制御する重要な因子であることが推測された。また、土壌中海水濃度がCH4生成微生物活性に影響していたことから、上流域からの淡水流量・海水面変動がCH4生成活性に影響を及ぼす可能性が示唆された。インドのマングローブ林でも同様な調査を行い、メコンデルタ土壌との比較を行っている。
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