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P22-9 : 殺線虫剤(カズサホス, ホスチアゼート)の繰り返し使用と微生物分解促進による不効化現象の関係
Posted On 20 10月 2014
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1東農工・院・生物システム
殺線虫剤を三年程度繰り返し使用すると、分解菌の集積及び急速な微生物分解により殺線虫効果がなくなる(不効化現象)という事態が発生している。殺線虫剤のカズサホスについてはギリシャ、オーストラリアで報告例があるが、ホスチアゼートについては未だない。また、土性や堆肥運用の有無、殺線虫剤使用歴の有無など、土壌の特性が不効化現象に与える影響に関する詳細な検討は少ない。本研究では、種々の土壌を用いて、これらの薬剤の連用による不効化の程度を検証し、不効化の起きやすい土壌ならびに薬剤処理条件を検討した。ホスチアゼート連用土壌(二年使用、沖積土)と、殺線虫剤使用歴のない土壌(多腐植黒ボク土)の堆肥および化学肥料連用区から採取した土に、カズサホス粒剤およびホスチアゼート粒剤を添加し、一か月間培養した。添加直後の土を分取し、キタネグサレセンチュウを添加後、約25℃で一週間培養した。ベルマン法により抽出された線虫を顕微鏡観察にて計数し、薬剤の殺線虫効果を評価した。これを3回行い、繰り返し施用による殺線虫効果の変化を評価した。ホスチアゼート連用土壌では、ホスチアゼートは2回目の添加で効果がなくなり、カズサホスは3回目の添加で効果が薄れた。土壌を殺菌後にもう一度薬剤を添加すると殺線虫効果を示した。これより、不効化は薬剤分解菌の集積によることが示唆された。殺線虫剤使用歴のない土壌では、堆肥連用区では3回目の添加でカズサホスは効果を失い、ホスチアゼートよりも不効化を起こしやすいことが分かった。堆肥連用区では化学肥料連用区よりも薬剤の不効化を起こしやすく、これは土壌の微生物活性が高いことによると考えられる。
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