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P22-6 : 茶園土壌への過剰窒素施肥と整せん枝残渣の投入が微生物群集構造に及ぼす影響
Posted On 20 10月 2014
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1静大・院・農
窒素肥料を多量施肥した茶園や、整せん枝残渣(樹高を切り揃える際に発生する葉や枝)が長期堆積した茶園は、N2O排出量が高いとされているが、そのN2O生成に関する微生物については不明な点が多い。我々は2012年9月より、窒素施肥量の違いと残渣投入の有無による4つの茶園試験区①標準施肥40 kg-N/10 a②多施肥120 kg-N/10 a③標準施肥+残渣④多施肥+残渣を設けている。これらの試験区より2014年1月に採取した土壌の培養試験を行ったところ、多施肥区の②④では硝化によるN2O生成が高まり、特に②から発生したN2Oの約90 %が硝化由来であった。また、残渣投入区の③④では脱窒によるN2O生成が有意に増加した。本研究では、培養試験に用いた各土壌の微生物群集を調査し、N2O発生との関連についてさらなる知見を得ることを目的とした。各土壌の18S rDNA、16S rDNA、amoA、nirK、nosZ遺伝子配列に基づいてPCR-DGGE解析を行った。その結果16S rDNAの群集構造は施肥量、残渣投入の有無に関わらずほとんど同じだったが、18S rDNAでは残渣の有無によって異なっていた。また、amoの群集構造は②で特に多様性が高く、他の土壌とは異なるバンドが多数確認された。これらのことから、残渣の投入がない場合は多施肥によってアンモニア酸化細菌の多様性が高まり、N2O生成への硝化の寄与率が増加すると考えられた。また各試験区でnirKやnosZの群集構造にはほとんど差がなかったが、存在量が異なる可能性があるため、今後さらにamoA、nirK、nosZを標的とした定量を行う。
keywords:一酸化二窒素,茶園,残渣,,