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P22-5 : 放射性セシウム汚染レベルの異なる土壌の次世代シークエンサーによる細菌群集構造解析
Posted On 20 10月 2014
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1東農工大・農, 2産総研・環境管理, 3福島大・共生システム理工, 4石巻専修大・理工
〔背景〕福島第一原子力発電所事故の発生により大量の放射性物質が環境中に放出され,福島県をはじめとする周辺地域で土壌汚染が引き起こされた。しかし,放射性物質によって汚染された土壌の細菌群集構造に関する研究報告は少ない。本研究では,土壌への放射性Cs蓄積が,土壌細菌叢にどのような影響を及ぼすのかを調べるために,次世代シークエンス解析を行った。
〔方法・結果〕福島県内の放射性Csによる汚染のレベルが異なる地域から採取したグライ土壌に生育するオオヨモギ根圏土壌およびその表層5 cmの土壌を供試した。高レベル汚染土壌においてはSphingobacteria綱,Actinobacteria綱, Deinococci綱およびVerrucomicrobiae綱などの4分類群に属する細菌の相対量が増加し,特に,Hymenobacter sp., Arthrobacter sp., Thermus thermophiles および Luteolibacter sp.は,大きな変化が見られた。これらの細菌群のうちのいくつかには,放射線や高温,乾燥条件に対する耐性を示すものが既に知られている。また,高レベル汚染土壌ではポリリン酸塩蓄積細菌を含む細菌群として知られるGemmatimonadetesも比較的多く検出された。これらのことから,土壌中の放射性Csは細菌群集構造に影響を及ぼしている可能性があり,放射性物質に対して何らかの耐性を有する特異的な細菌群がこのような条件下において徐々に優占化している可能性がある。現在,より高線量の土壌およびコントロール土壌に関しても解析中である。
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