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P22-2 : 水田におけるバルクおよび根圏土壌細菌群集の構造とその周年変動
Posted On 20 10月 2014
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1東大・院・農学生命, 2新潟農総研, 3産総研・生物プロセス, 産総研・環境管理, 茨城大・農
水田は水管理と作物の影響から土壌環境が劇的に変化する。耕作期は湛水によりバルク土壌で嫌気的な環境が形成されるが、根圏土壌は根からの酸素供給によりバルク土壌に比べ好気的な環境が維持される。また、休閑期は落水されて全体的に好気的な土壌環境が保持される。しかし、この様な土壌環境の変動下における、バルク及び根圏土壌の微生物群集の応答は十分に分かっていない。そこで本研究では水田のバルク及び根圏土壌細菌群集の構造とその周年変動を調査した。
新潟県農業総合研究所内の水田より、耕作期から休閑期にかけてバルク土壌を経時的に採取した(計8回)。また、イネ(Oryza sativa L.)を植えた不織布ポットを同圃場に埋め込み、そこから根圏土壌を経時的に採取した(計6回)。土壌からDNAを抽出し、細菌の16S rRNA遺伝子のV4領域をPCR 増幅し、Miseqシーケンサーにてディープシーケンシングした。
シーケンスデータの主座標分析から、バルク土壌の細菌群集構造は年間を通してほとんど変化しなかったが、根圏土壌では経時的に変動する傾向が見られた。両土壌で年間を通じてProteobacteria(36-45%)が最も優占していた。次いで、バルク土壌では周年でChloroflexi、Acidobacteriaの順で優占度が高かった。一方、根圏土壌では中干し以降でAcidobacteriaの相対存在量が減少し、Chloroflexiが増加する傾向が見られた。以上より、バルク土壌よりも根圏土壌の細菌群集構造の方が経時的に変動しやすく、バルク土壌と異なる根圏土壌特有の細菌群集構造が形成されることが示唆された。
keywords:水田,根圏土壌,バルク土壌,細菌群集構造,メタアンプリコン解析