P19-18 : エストロゲン分解菌の探索とウキクサ共生浄化の試み
Posted On 20 10月 2014
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1北大・理・生物科学, 2北大・地球環境科学院・生物圏科学, 3北大・地球環境科学院・生物圏科学
研究の背景 エストロゲン類には排水あるいは環境基準は設けられていないが、河川に混入した場合魚介類のメス化や雌雄同体化を引き起こすことが報告されている。またエストロゲン類は活性汚泥処理において分解の難しい物質の一つとされている。当研究室では従来の活性汚泥法を補完する水処理技術として水生植物と根圏微生物の共生系を活用した植生浄化技術基盤の構築を目指している。本研究では、ウキクサ根圏と活性汚泥からエストロゲン分解菌を取得し、その諸特性を評価した。さらにウキクサとの共生系を利用したエストロゲン類化合物の浄化技術の可能性を検討した。
方法および結果 三ヵ所から入手したウキクサおよび下水処理場から採取した活性汚泥より、エストロゲン分解細菌を単離するためエストラジオール(E2)添加による集積培養を行った。その結果24時間以内にE2からエストロゲン様活性の低いE1に変換出来る菌株を複数獲得したが、完全分解できるものはなかった。そこで、吉元ら(ヤクルト本社中央研究所)によって活性汚泥中から単離された E2完全分解細菌Rhodococcus zopfii Y 50158株 について、エストロゲン分解評価及びウキクサへの付着評価を行った。その結果、Y 50158 株のウキクサへの付着が確認された。さらに、Y 50158株をウキクサに付着させ、E2添加最少培地で培養し、HPLC分析によってE2残存量を測定したところE2は3日間で完全に分解された。現在、実環境を想定した下水処理場の二次次処理水にE2を添加した条件でウキクサに付着させたY 50158株がE2を持続的に分解するかを評価している。
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