P19-07 : 蓄電性バイオナノマテリアル生成複合微生物系の解析
Posted On 20 10月 2014
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1静大院・工, 2静大・工
低炭素循環型社会の構築は重要な社会的課題であり、有機性廃棄物の処理およびクリーンエネルギーの生産が求められる。微生物燃料電池(MFC)の負極バイオフィルムを接種源とした複合微生物系において、黒色の物質が生成された。本物質をMFCに添加したところ初期発電効率の大幅な向上が確認され、蓄電能を有することも示された。そこで本研究では、本物質の生成機構を理解する一環として、この複合微生物系の解析を実施した。
まず、本物質の生成過程と蓄放電能力について解析した。その結果、培養初期では白色系の物質が形成され、その後黒色化した。色の変化に伴い、蓄放電能力は急激に増加し安定した。これらの変化は鉄の酸化還元状態とも関連していた。顕微鏡解析の結果、白色物質フロック中に黒色物質の形成が確認された。 次に、16S rRNA遺伝子クローンライブラリー解析ならびに6well-plate法を用いて微生物を分離した。分離2菌株の16S rRNA遺伝子相同性解析から優占微生物であるDesulfovibrio属およびTrichococcus属の分離(それぞれHK2株およびHK3株と称す)に成功した。HK2株は黒色物質を生成し 充放電能力は複合系の約1.5倍、EDX分析から主成分はFeおよびSであった。一方、HK3株は白色物質を生成、充放電能力は複合系の約0.2~0.5倍であり、主成分はTiおよびPであった。
以上の結果から、複合微生物系ではT. sp. HK3株に相当する微生物がTiを構成成分とする白色物質生成を生じ、次にD. sp. HK2株が硫酸とFe還元に基づく黒色物質の生成に寄与していると考えられた。
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