P19-04 : VOCs複合汚染の浄化に向けた好気・嫌気分解の検討
Posted On 20 10月 2014
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1産総研・地圏資源環境
VOCsによる土壌汚染の浄化対策としてバイオレメディエーションが適用されている。既往の研究や浄化実績は単一の汚染物質を対象としたものが多く、故に複数の汚染物質で汚染された複合汚染サイトではバイオレメディエーションを断念するケースも見受けられる。本研究では脂肪族、芳香族の複数の汚染物質(テトラクロロエチレン(PCE)、トリクロロエチレン(TCE)、シス-ジクロロエチレン(cis-DCE)、塩化ビニル(VC)、ジクロロメタン(DCM)、ベンゼン、トルエン)の効率的な分解条件を検討することを目的として行った。汚染サイトから採取した土壌を微生物の接種源とし、本土壌を用いた事前検討の結果DCM、ベンゼン、トルエンは好気条件下でPCE、TCE、cis-DCE、VC、DCMは嫌気条件下で微生物分解が生じることが明らかとなっており、好気・嫌気培養を繰り返し上記7種の汚染物質全ての完全分解を試みた。事前検討の際に嫌気条件下で培養を行った培養液と塩類培地を3:10(v:v)で混合し、ヘッドスペースの酸素濃度を5、10、21%としてDCM、ベンゼン、トルエンを添加し30℃の恒温器内で培養した。分解終了後、新たな培地に植え継ぎ、ヘッドスペースをN2で置換した嫌気条件下でPCE、TCE、cis-DCE、VC、DCMの分解を試みた。好気、嫌気、異なる酸素濃度条件下全てで、汚染物質は完全分解した。好気分解では酸素濃度が高いほど、嫌気分解では酸化分解時の酸素濃度が低いほど分解速度は速かった。好気分解および嫌気分解を組み合わせることで、VOCsの複合汚染のバイオレメデーエーションが可能となることが示唆された。
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