P18-07 : 酸化亜鉛ナノ粒子が嫌気微生物生態系に及ぼす変化
Posted On 20 10月 2014
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1大阪府大院・工
【背景と目的】工業的に生産された酸化亜鉛ナノ粒子(ZnO-NP)は、日焼け止めなどの市販品に広く利用されている。一方、様々な微生物に対して毒性を示すとの報告が増加しており、消費者の一般的な使用による土壌への拡散が懸念される。土壌中の嫌気性微生物は消化発酵汚泥中に存在する。そこで本研究では、この消化発酵汚泥を土壌微生物生態系のモデルとして用い、ZnO-NPが及ぼす影響について考察を行った。
【方法と結果】消化発酵汚泥とでんぷん、ZnO-NP分散液をバイアル瓶に封入し(最終濃度50 mg-ZnO/L)、窒素ガスで置換して嫌気状態とした。その後、310Kで静置培養し、生成するバイオガス、有機酸を分析した。7日間の培養後、対照の酢酸濃度は15.7 mM、メタン生成量は4.76 mLとなった。一方、ZnO-NPを投与した場合は、酢酸濃度が22.5 mMにまで上昇し、メタン生成量は0.40 mLにまで減少した。酢酸は酢酸資化性メタン生成細菌によりメタン化されると言われている。そこで酢酸ナトリウムを基質として、同様に7日間培養を行った。その結果、対照ではメタンが1.84 mL生成したが、ZnO-NPを投与すると0.64 mLにまでメタン生成量が減少した。以上より、ZnO-NPが酢酸資化性メタン生成細菌に対して特に強く影響を及ぼし、発酵産物の生成量が変化したと考えられる。
そこで発酵挙動の変化に関与している微生物を特定するため、PCR-DGGE法を用いた菌叢解析を行った。その結果、ZnO-NPは菌叢構造を大きく変化させないが、対照に存在する微生物の一部を欠損させた可能性が示唆された。
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