P18-06 : 集積培養菌叢に対する酸化亜鉛ナノ粒子の毒性
Posted On 20 10月 2014
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1大阪府大院・工
【背景と目的】酸化亜鉛ナノ粒子(ZnO-NP)は、Escherichia coliやCampylobacter jejuniなど、様々な微生物に対して毒性を示すとともに、近年では、菌叢を変化させることも報告されている。しかし、食品の発酵生産などに用いられる麹など、構成する微生物種が少ない集積培養菌叢に対する毒性についての報告は少ない。本研究では、ZnO-NPが集積培養菌叢に対して及ぼす影響について解析を行うことを目的とした。【方法と結果】消化発酵汚泥にでんぷんを投与して培養すると、でんぷんを分解する微生物が優勢となる。優勢となった菌叢を新しい培地に植え継いで集積培養菌叢を得た。この集積培養菌叢とでんぷん、酸化亜鉛ナノ粒子分散液をバイアル瓶に封入した(最終濃度50 mg-ZnO/L)。ヘッドスペースを窒素ガスで置換することで嫌気状態とし、310Kで静置培養した。その結果、二酸化炭素や酢酸など発酵産物の生成量が対照の5%以下となり、目視でも微生物の増殖が認められなかった。以上より、ZnO-NPは集積培養菌叢の増殖を阻害したと考えられる。単菌培養での既往の研究では、ZnO-NPの投与濃度をE. coliでは80 mg/L、C. jejuniは100 mg/Lとしたとき死滅すると報告されている。本研究の結果より、ZnO-NPは集積培養菌叢に対し、単菌培養の場合よりも低い濃度で影響を及ぼすことがわかった。さらに、PCR-DGGE法を用いて集積培養菌叢中に存在する微生物を解析し、ZnO-NPが集積培養菌叢に対して特異的に与える影響について解析を行っている。
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