PA-019:

N₂O production by ammonia-oxidizing bacteria from mesotrophic sediments in coastal environments

【目的】　アンモニア酸化バクテリア (AOB) とアンモニア酸化アーキア (AOA) はオゾン層の破壊や地球温暖化の原因になる亜酸化窒素（N₂O）を放出することで知られている。しかし、人間活動の影響を受け易い沿岸海域において、AOBとAOAのN₂O放出に関する報告はまだ少ない。本研究では、人間活動の影響を大きく受けている北海道厚岸と人間活動の影響が少ない静岡県下田の両沿岸底泥からのN2O放出量とAOBとAOAの存在量の関係を調べた。
【方法】　2013年7月18日に厚岸湖内の4箇所（地点A、B、C、D）の底泥を採取した。2013年7月23日に下田市外浦湾内の2箇所（地点E、F）の砂を採取した。泥や砂からのN2O発生の違いを調べるため、50 mL血清ビンに泥 15 ｇ、ろ過滅菌した海水15 mLを添加して密閉し、20℃暗所で10日間の培養後、培養びん内のN2O濃度をガスクロマトグラフィーで測定した。AOBとAOAの量を推定するため、試料からDNAを抽出し、amoA遺伝子を標的としたPCRを行った。
【結果と考察】　地点AとDの泥からN₂O 発生が認められた。しかし、地点B、C、E、およびFからは有意なN₂O 発生が見られなかった。N₂O 発生が認められた地点AとDからはAOBのamoA遺伝子断片の量が多く検出された。一方、地点BとCからはAOBのamoA遺伝子断片の量は非常に低かった。地点EとFからはAOAとAOBの両amoA遺伝子断片が同程度の量が検出された。これらの結果より、沿岸海域の底泥からのN₂O放出はAOAよりAOBの関与が大きいことが示唆された。

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