P18-02 : 宇宙居住環境におけるon-site微生物モニタリングを目指したマイクロ流路システムの開発
Posted On 20 10月 2014
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1阪大院・薬・衛生
【目的】これまでの宇宙実験により、宇宙居住環境ではヒトの免疫能が低下する可能性が報告されており、地上以上に微生物汚染に対して注意を払う必要性が認識されている。現状では宇宙ステーションで得られた試料を地上で解析することにより、衛生微生物学的な環境評価が行われているが、有人火星探査などの超長期宇宙居住においては、試料を地上に持ち帰ることが困難となるため、宇宙居住システム内での微生物モニタリングが必須となる。そこで、当研究室ではJAXAと共同し、real-time on-site微生物モニタリングの研究を進めている。
【方法】微生物の検出にあたってはマイクロ流路デバイスを作製し(48 ×23 mm)、幅100 µm,深さ15 µmの微小流路を刻んだ。on-siteモニタリングは、独自に作製したシステムを大学構内の池に携行し行った。蛍光染色した試料をシリンジ内に充填した後、デバイスの微小流路に一定の速度で流し、細菌数を測定した。同じ試料を研究室に持ち帰り、蛍光顕微鏡により細菌数を測定し、システムで得られた結果と比較した。
【結果および考察】ポータブル・システムにより現地で求めた環境水中の全細菌数は105 cells/ml、エステラーゼ活性を持つ細菌数は104 cells/mlであり、蛍光顕微鏡による測定値と大きな差は見られなかった。また、全細菌数およびエステラーゼ活性をもつ細菌数ともに測定結果を1時間以内で得ることができた。これらの結果より、ポータブル・マイクロ流路システムを用いた環境水中の細菌のリアルタイム・オンサイト・モニタリングが可能であることが示された。
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