P18-01 : 黄砂飛来にともなう真菌群集構造および真菌量の変動
Posted On 20 10月 2014
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1阪大院・薬・衛生
【目的】日本には毎年約400万トンの黄砂が飛来すると推測されており、黄砂とともに微生物が長距離移動していることが報告されている。しかし、飛来する微生物が下流域のヒトの健康に与える影響について、その詳細は不明である。真菌は、ヒトへの病原性やアレルゲンをもつものが多数知られており、そのモニタリングは重要である。そこで、健康影響を評価するために、黄砂の飛来による大気中の真菌群集構造および真菌量の変動を明らかにした。 【方法】2010年11月~2014年6月まで、大阪大学薬学部屋上にて大気バイオエアロゾルを採取した(黄砂飛来時12回、平常時24回)。このうち4試料に対して、pyrosequencing法を用いて、真菌群集構造の解析を行った。また、定量的PCR法を用いて真菌量を測定した。 【結果および考察】真菌群集構造解析の結果、全4試料においてAscomycotaが優占していることが分かった。また、平常時の真菌群集構造の変動が大きく、さらに黄砂飛来時である2010年11月12日と平常時である2013年5月30日の真菌群集構造の類似度が高いことが分かった。定量的PCRの結果、黄砂飛来時では(4±4)×105、平常時では(3±3)×105 copies/m3となり、黄砂飛来時と平常時で大きな差は見られなかった。これらの結果から、黄砂の飛来は下流域の真菌群集に大きな影響を与えない可能性が示された。なお現在、残りの試料についても真菌群集構造解析を行っており、本発表ではその結果も含めて考察する。本研究は、JSPS科研費(25281030)の助成により行った。
keywords:bioaerosol,airborne fungi,Asian dust,long-range transportation,fungal community analysis